海外オフィス TVOC対策 (ホルムアルデヒド)
光触媒コーティングと空気浄化装置の設置

所在地:海外諸国 施工日:2024.08.26
工期:1日 施工箇所:室内
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諸国における新築・内装工事に伴うTVOC(ホルムアルデヒド)対策



新築や内装工事に伴い、住宅やオフィスではしばしばホルムアルデヒドなどをはじめとした、TVOC(総揮発性有機化合物)の問題が発生します。これらの化学物質は、空気の質を低下させるだけでなく、健康にも重大な影響を与える可能性があります。例えば、国際がん研究機構(IARC)ではホルムアルデヒドをヒトに対して発がん性物質であると認定しています。日本では既にこれらの物質が建築法で規制されており、世界的にも対策が求められています。




ホルムアルデヒドとは?



ホルムアルデヒド(Formaldehyde 化学式HCHOまたはCH₂O)は、アルデヒド化合物の一種で、無色で強い刺激臭を持つガス状の化学物質です。特に接着剤や建材、防腐剤などの製造に広く利用されています。その揮発性の高さから、新築やリフォーム後の建物で空気中に放出され、室内空気汚染の主な原因となります。
ホルムアルデヒドは自然界でも微量ながら存在し、植物や燃焼プロセスによっても生成されますが、主に工業的に合成される物質です。ホルムアルデヒドは、特定の建材や家具から長期間にわたり徐々に放出されるため、室内環境の持続的な汚染源となる可能性があります。この化学物質に長期間さらされることで、目や喉の刺激、皮膚炎を引き起こすだけでなく、発がんリスクの増加が報告されています。日本を含む多くの国々では、ホルムアルデヒドの放散量に関する規制が導入されており、健康的な室内環境を維持するための対策が進められています。



使用用途


ホルムアルデヒドは、その反応性の高さから、以下のような多岐にわたる産業分野で広く使用されています:



  • 接着剤: ホルムアルデヒドは、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)やフェノールホルムアルデヒド樹脂(PF樹脂)など、合成樹脂の製造に使用されます。これらの樹脂は、合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)などの木材製品において接着剤として利用されています。




  • 建材: ホルムアルデヒドは、断熱材、壁紙、カーペット、床材など、多くの建材に使用されています。特に、建物の内装に使われる材料に多く含まれています。



  • 防腐剤: ホルムアルデヒドは、その殺菌効果から、保存料や防腐剤としても使用されています。製品の長期保存を目的として、木材、繊維、皮革製品、さらには化粧品や医薬品に添加されることもあります。



  • その他の用途: ホルムアルデヒドは、化学工業における中間体として、プラスチック、合成繊維、染料、医薬品の製造においても利用されています。また、ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)は、標本の保存液としてもよく知られています。





健康への影響


ホルムアルデヒドは、その揮発性のため、新築やリフォーム後の建物内で容易に空気中に放出され、室内空気汚染の主要な原因となります。この物質への暴露は、以下のような健康被害を引き起こす可能性があります:




1. 短期的影響:



  • 呼吸器系への刺激: ホルムアルデヒドの吸入は、目、鼻、喉の粘膜に強い刺激を与え、くしゃみ、咳、涙目などの症状を引き起こします。

  • 皮膚炎: 皮膚に直接接触すると、アレルギー反応や皮膚炎を引き起こすことがあります。

  • 頭痛や吐き気: 高濃度のホルムアルデヒドにさらされると、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が現れることがあります。



2. 長期的影響:



  • 発がん性: ホルムアルデヒドは、IARC(国際がん研究機関)によってヒトに対する発がん性が確認された物質(グループ1)に分類されています。長期間にわたりホルムアルデヒドにさらされることで、特に鼻や咽頭のがんリスクが増加するとされています。

  • 慢性刺激症状: 長期的な低濃度の暴露でも、慢性的な呼吸器系の刺激症状が続くことがあり、気管支炎や喘息の悪化が報告されています。



規制と対策


日本を含む多くの国々では、ホルムアルデヒドの室内濃度に関する規制が設けられています。例えば、日本の建築基準法では、建材からのホルムアルデヒド放散量が厳しく規制されており、F☆☆☆☆(フォースター)と呼ばれる最高等級の建材が推奨されています。
また、空気中のホルムアルデヒド濃度を低減するための対策としては、適切な換気の確保、ホルムアルデヒドを含まないまたは低放散の建材や家具の使用、光触媒コーティングなどが効果的です。特に、ホルムアルデヒドを分解する光触媒技術は、環境にやさしい対策として注目されています。


ホルムアルデヒドへの暴露を最小限に抑えることは、健康的な住環境を維持するために極めて重要です。




シックハウス症候群とホルムアルデヒド


シックハウス症候群は、建物内の空気汚染物質が原因で引き起こされる健康被害の総称です。ホルムアルデヒドやその他のTVOCは、シックハウス症候群の主な原因とされています。この症状により、頭痛、めまい、アレルギー反応、疲労感など、日常生活に支障をきたす様々な症状が現れることがあります。特に、免疫力が低下している子供や高齢者にとっては、深刻な健康リスクとなり得ます。



パルクコートコーティング施工と空気浄化装置の設置


弊社の光触媒パルクコートコーティング、空気浄化装置「PALCCOAT NanoT-Air」は、このような有害物質を効果的に分解し、安全で健康的な住環境を提供するために開発されました。先日、諸国のある内装改修現場で「光触媒パルクコートコーティング」及び、「PALCCOAT NanoT-Air」を設置し、空気中のTVOCおよびホルムアルデヒド濃度を測定しました。コーティング及び設置前(2.0ppm)であったのに対し、施工後翌日のppm値を比較したところ、0.12ppmまで削減されていました。これはいわゆる1立方メートルのチャンバーでのラボ試験ではなく、実環境での結果になります。







「PALCCOAT」は、健康で快適な住環境を守るため、今後も多くの現場でこの製品を活用し、さらに多くの人々に安全な空気を届けていきたいと考えています。



その他指針値が設定された物質の特性等


国内外のVOC規制の概要(pdf)*

*当社にて収集したデータに基づく。最新の規制値については、各国の公式機関や関連文書を参照してください。



1. アセトアルデヒド (Acetaldehyde)


・化学式: C₂H₄O


・特性: アセトアルデヒドは自然界に広く存在し、特に果物や野菜、パンの発酵過程などで生成されます。また、アルコールの代謝過程で生成される中間生成物でもあります。揮発性が高く、水やエタノールに容易に溶けます。工業的には、接着剤、合成樹脂、プラスチック、香料、酢酸の製造に使用されます。


・健康影響: アセトアルデヒドは刺激性があり、吸入や接触により眼、鼻、喉、皮膚に強い刺激を与えることがあります。長期的には発がん性の可能性があり、特に肺、鼻腔、喉頭などの上気道に影響を与えるとされています。また、アセトアルデヒドは、慢性飲酒者で肝臓損傷を引き起こす要因ともなります。



2. トルエン (Toluene)


・化学式: C₇H₈


・特性: トルエンは芳香族炭化水素で、石油や原油から得られます。無色透明で揮発性が高く、甘い芳香を持ちます。水にほとんど溶けませんが、有機溶媒には溶けやすく、塗料、接着剤、ゴム、インクなどの溶剤として広く使用されます。また、トルエンはプラスチック、染料、爆薬(トリニトロトルエン、TNT)の製造においても重要な役割を果たします。


・健康影響: トルエンの吸入は中枢神経系に抑制的な影響を与え、頭痛、めまい、眠気、混乱を引き起こします。高濃度での暴露は意識喪失や呼吸抑制に至る可能性があります。慢性的な暴露は、神経系への損傷、肝臓や腎臓へのダメージ、そして発育中の胎児に対する影響が懸念されます。



3. キシレン (Xylene)


・化学式: C₆H₄(CH₃)₂


・特性: キシレンはトルエンと同様に芳香族炭化水素であり、3つの異性体(o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)が存在します。石油から得られるキシレンは、塗料、接着剤、ゴム製品、樹脂の溶剤として使用されます。キシレンは油や脂肪に溶けやすく、工業用洗浄剤としても利用されます。


・健康影響: 短期的には眼、鼻、喉の刺激を引き起こし、高濃度では頭痛、めまい、失調、意識障害などを引き起こします。長期的には、慢性的な神経系の障害、肝臓や腎臓の損傷のリスクがあります。また、皮膚に接触すると、乾燥や炎症を引き起こすことがあります。



4. エチルベンゼン (Ethylbenzene)


・化学式: C₆H₅C₂H₅


・特性: エチルベンゼンは芳香族炭化水素で、無色の液体です。主にスチレン(ポリスチレン樹脂の原料)の製造に使用されますが、塗料、接着剤、インクの溶剤としても広く利用されます。エチルベンゼンは、揮発性が高く、石油やコールタールからも得られます。


・健康影響: エチルベンゼンの吸入は中枢神経系に抑制的な影響を与え、めまい、頭痛、眠気、意識の混乱を引き起こします。皮膚や眼に接触すると刺激を感じることがあり、高濃度での暴露は肝臓や腎臓への損傷を引き起こす可能性があります。さらに、エチルベンゼンはIARC(国際がん研究機関)によって、ヒトに対する発がん性が疑われる物質に分類されています。



5. スチレン (Styrene)


・化学式: C₆H₅CH=CH₂


・特性: スチレンは芳香族モノマーであり、ポリスチレン樹脂やABS樹脂の製造に用いられます。無色で粘性があり、甘い芳香が特徴です。スチレンは工業的には石油から得られ、プラスチック、ゴム、塗料、接着剤など多くの製品の原料となります。


・健康影響: スチレンの短期的な吸入は呼吸器系、眼、鼻、喉の刺激を引き起こし、高濃度では中枢神経系の抑制、頭痛、疲労感、平衡感覚の喪失などの症状が現れます。長期的には神経系への影響が懸念され、慢性的な暴露で発がん性が指摘されています。また、IARCはスチレンをヒトに対して発がん性が疑われる物質に分類しています。



6. パラジクロロベンゼン (p-Dichlorobenzene)


・化学式: C₆H₄Cl₂


・特性: パラジクロロベンゼンは二塩化ベンゼンの異性体の一つで、無色の結晶性固体です。モスボール(防虫剤)や空気清浄剤として使用され、特有の強い芳香があります。揮発性が高く、空気中に蒸発しやすい性質があります。


・健康影響: 短期的には眼、鼻、喉の刺激を引き起こし、高濃度では中枢神経系の抑制、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐などの症状が現れる可能性があります。長期的には肝臓、腎臓、血液系への影響が報告されており、発がん性も懸念されています。IARCは、パラジクロロベンゼンをヒトに対して発がん性が疑われる物質に分類しています。



7. テトラデカン (Tetradecane)


・化学式: C₁₄H₃₀


・特性: テトラデカンは炭化水素の一種であり、アルカン系の化合物です。無色で揮発性は低いですが、可燃性があります。石油から得られ、主に潤滑剤、パラフィン、添加剤として使用されるほか、分析化学の標準物質としても用いられます。空気中に揮発することは少ないため、空気中での濃度は通常低いです。


・健康影響: テトラデカン自体は比較的低毒性ですが、高濃度の吸入や皮膚への接触は軽度の刺激を引き起こす可能性があります。吸入すると呼吸器系に刺激を感じることがありますが、通常は重篤な健康リスクを引き起こすことは稀です。



8. クロルピリホス (Chlorpyrifos)


・化学式: C₉H₁₁Cl₃NO₃PS


・特性: クロルピリホスは有機リン系の殺虫剤であり、無色から白色の結晶性固体です。農業や家庭園芸の害虫駆除に広く使用されます。作用機序は、昆虫の神経系を阻害することにより、昆虫を死に至らしめます。クロルピリホスは土壌中で分解されにくく、環境中で長期間残留する可能性があります。


・健康影響: クロルピリホスは中枢神経系に強い毒性を持ち、吸入や接触により頭痛、めまい、吐き気、筋肉のけいれんなどを引き起こします。高濃度での暴露は重度の神経障害や呼吸抑制、さらには死に至る可能性があります。特に子供や発育中の胎児に対する神経毒性が問題視されています。



9. フェノブカルブ (Fenobucarb)


・化学式: C₁₂H₁₇NO₂


・特性: フェノブカルブはカーバメート系の殺虫剤であり、無色の液体または白色の固体です。主に農業用の害虫駆除剤として使用されます。作用機序は、昆虫の神経伝達物質であるアセチルコリンエステラーゼを阻害することで、昆虫を死に至らしめます。揮発性が低く、土壌中で比較的安定しています。


・健康影響: フェノブカルブは急性毒性があり、吸入や皮膚接触によって中毒症状が現れることがあります。中枢神経系に影響を与え、頭痛、めまい、吐き気、筋肉のけいれん、さらには重度の呼吸抑制を引き起こす可能性があります。また、長期暴露では神経系への慢性的な影響が懸念されます。



10. ダイアジノン (Diazinon)


・化学式: C₁₂H₂₁N₂O₃PS


・特性: ダイアジノンは有機リン系殺虫剤で、無色から黄色の液体です。家庭用および農業用の害虫駆除剤として広く使用されます。作用機序は、昆虫の神経系を阻害することで、昆虫を死に至らしめます。ダイアジノンは比較的揮発性が低く、土壌中で分解されやすい性質があります。


・健康影響: ダイアジノンは中枢神経系に強い毒性を持ち、吸入や接触によって頭痛、めまい、吐き気、筋肉のけいれんなどを引き起こすことがあります。高濃度での暴露は重度の神経障害や呼吸抑制、さらに死に至る可能性があります。慢性的な暴露では神経系への影響が懸念されており、特に発育中の胎児や子供に対してリスクが高いとされています。



11. フタル酸ジ-n-ブチル (Dibutyl Phthalate, DBP)


・化学式: C₁₆H₂₂O₄


・特性: フタル酸ジ-n-ブチルは無色の液体で、プラスチックの可塑剤として広く使用されます。主に柔軟なプラスチック製品(PVCなど)の製造に使用され、化粧品や接着剤、塗料にも含まれています。水には溶けにくいが、有機溶媒にはよく溶けます。


・健康影響: DBPは内分泌攪乱物質として知られており、長期的な暴露が生殖毒性を引き起こす可能性があります。特に男性の生殖機能に悪影響を与えるとされています。動物実験では、肝臓や腎臓の損傷、発育不全が報告されており、ヒトに対しても同様のリスクが懸念されています。また、IARCはDBPをヒトに対して発がん性がある可能性がある物質に分類しています。



12. フタル酸-2-エチルヘキシル (Di(2-ethylhexyl) Phthalate, DEHP)


・化学式: C₂₄H₃₈O₄


・特性: DEHPは無色透明で粘性のある液体で、プラスチックの可塑剤として広く使用されます。主にポリ塩化ビニル(PVC)の製造に使用され、医療機器、玩具、食品包装材などに多く含まれています。DEHPは水に溶けにくく、脂肪や油には溶けやすい性質があります。


・健康影響: DEHPは内分泌攪乱物質であり、特に男性の生殖機能に影響を与えることが報告されています。また、発育中の胎児や子供に対してもリスクが高く、発育障害や生殖器異常が懸念されています。DEHPはまた、肝臓や腎臓に対する慢性的な影響が報告されており、IARCはこれをヒトに対する発がん性が疑われる物質に分類しています。



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